2018年1月31日

市場調査/マーケティング事業を行う株式会社日本・社会システムラボラトリー(本社:東京都渋谷区道玄坂1-12-1 電話番号:03-4360-5673 社長:足立 吉弘)は、企業における情報共有を実現するために活用されているグループウェアの最新市場動向を「グループウェア市場動向2018」としてまとめた。また、現在グループウェア市場で主流となっているクラウド型グループウェアにおいて機能強化を実現する連携サービスの市場も合わせてまとめた。

⬛調査結果の概要

◆グループウェア市場

グループウェアは企業内のさまざまな情報を共有するために用いられるITツールとして普及が進んできた。当初は社内の情報が散在しやすい大規模企業を中心に普及が進んできたが、中小規模企業に置いても重要なITツールであるメールやスケジュール機能に加えて、Officeツールなどを用いて作成された電子データなどのドキュメント管理を行うなどのファイル共有のニーズが高まったことで利用が進んでいる。

●2017年グループウェア市場は14.2%増の925億円へと拡大

2017年のグループウェア市場は引き続きクラウドサービスが市場をけん引する形で市場が拡大している。パッケージ製品はクラウドサービスへの移行により市場規模が横ばいから微減で推移しているものの、オンプレミス市場からの移行分に加えて新規ユーザーの獲得を進めることによりクラウドサービス市場は19.0%もの伸びを示しており、グループウェア市場全体は増加傾向で推移している。

クラウドサービス市場はグーグル・クラウド・ジャパン「GSuite」が市場を開拓してきた。その後Microsoft「Office365」がユーザーを獲得してきたことにより、外資系2サービスがけん引する形で市場を急拡大させている。オンプレミス市場でユーザーを多く抱えているIBMやサイボウズを始めとするメーカー各社もクラウドサービスへの注力度を高めており、クラウドサービスへの移行が進んでいる市場の1つと言える。

●グループウェア市場を取り巻く環境の変化

グループウェア市場は2010年以降大きな変化を迎えている。主な動きは以下の通りである。

1.クラウドサービスの普及

2.クラウドサービスの基本機能の強化/補完が進む

3.ベンダーによってサービス提供方法への考え方に差が出てきている

4.オンプレミス時代の遺産への対応が急務になってきている

グループウェアがクラウドサービスへと移行していることに加え、近年ではクラウドサービスとして提供されているグループウェア機能を強化/補完する動きが進んできている。ワークフロー機能や経費精算機能などをグループウェア機能の1つとして取り込む動き、セキュリティ対策としてシングルサインオン(SSO)などを導入する動きがその一例である。

グループウェアサービス自体がすでに同様の機能を有しているケースもあるものの、市場をけん引している外資系サービスでは日本企業が従来利用してきたUIとは異なる部分も多いため、それらUIを従来に似たものに変える、あるいは利用しやすい機能として提供する「アドオンツール」の活用が進んでいる。メールやスケジュールなどの利用から始めたユーザー企業が導入から年数が経過したことで利用の幅を広げようと考えていることもその背景の1つとなっているとみられる。

このように、グループウェア活用の幅が広がりを見せる中で、クラウドサービスを提供するグループウェアベンダーの提供方法にも変化が出てきている。サードパーティとの連携を強化してエコシステムとして周辺サービスを強化するベンダー、自社サービスを強化する形でそれらニーズを獲得しようとするベンダーといった形である。

また、オンプレミスからクラウドサービスへと移行した企業の中にはオンプレミス時代のデータをクラウドサービスへと移行できず、そのまま並行稼動あるいは塩漬けにしたままの企業も多く、それら企業が過去の遺産への対応を行わなければならない状況に追い込まれてきている。

◆アドオンツール市場

●アドオンツールの活用が進みグーグル・クラウド・ジャパン「Gsuite」向けの2017年アドオンツール市場は25.0%増加の10億円へと拡大

クラウドサービス市場をけん引してきたグーグル・クラウド・ジャパン「GSuite」ではパートナーであるISVなどサードパーティが提供するサービスとの連携を強化しており、「GSuite」との間をAPIで連携することが可能である。

グループウェアのクラウドサービスへの移行、新規採用が進んできたことにより、周辺サービスとして提供されている「アドオンツール」市場も拡大傾向で推移している。メールやスケジュールなどの利用だけにとどまっていたユーザーも多くみられたが、導入から数年が経過して利用範囲を拡大させようと考えているユーザー企業が増えてきていることが背景にある。

スケジュールやアドレス帳などグループウェアが持つ機能を強化/補完するためのアドオンツール利用が先行してきたが、ワークフローや経費精算などの機能を追加する動きが近年は強まっている。

グーグル・クラウド・ジャパンではISVとの連携を強化しており、それらパートナーとのエコシステムによりグループウェアおよびアドオンツール市場の拡大をけん引している。

◆シングルサインオン

●グーグル・クラウド・ジャパン「Gsuite」向け2017年シングルサインオン市場は28.6%増加の18億円へと拡大

クラウドサービスを利用する際に最も重視されるのがセキュリティ対策である。そのセキュリティ対策の1つとしてシングルサインオンが導入されている。

シングルサインオンは本来複数のログインを必要とするシステムの認証作業を簡易にすることを目的に導入されることが多いが、クラウドサービス導入で先行したグループウェア市場では単体サービスでの利用においても導入されるケースが多かった。現在も単体での利用が多いが、クラウドサービス活用が進んできたことで複数クラウドサービスを跨いで利用されるケースも増えてきている。

当レポートの詳細は「グループウェア市場動向2018」を御覧ください。
報道関係のお問い合わせはこちらからお願い致します。